当果樹園ではこのほど、落葉したさくらんぼの剪定作業を始めました(写真1参照)。さくらんぼ畑の面積は50アールほどですが、2名での作業でおよそ2ヵ月程度を要する見込みです。
剪定の留意点はさまざまですが、たとえばさくらんぼの「頂部優勢」という特性を考慮することが挙げられます。この特性は、養分が幹や枝の側面よりも先端に供給され成長が優先されるというもの。たとえば、これまで成長してきた枝の途中に、今年新たに空に向かって勢いよく伸びてきた新梢があった場合、その新梢をそのままにしておくと、枝の先は養分が十分に行き届かなくなり弱ってしまいます。剪定では、こうした特性や日当たりなどを考慮しながら枝を間引いたり、ときには意図的に残したりしていくこととなります。
また、作業中はハサミやノコギリのほかに、ペースト状の「癒合促進剤」を携帯しています。さくらんぼは他の果樹よりも剪定による切り口が癒合しにくく、病害の感染リスクがあることから、切り口には殺菌や癒合を促す薬剤の塗布が欠かせないためです。
↑写真1●落葉したさくらんぼの樹々。撮影した12月7日は久しぶりに青空が広がり、暖かい一日となりました。落葉前の様子は11月17日のお知らせをご覧ください。
他方、さくらんぼの枝を見ますと、来春に花を咲かせる芽が6個程度集まっているのがわかります(写真2参照)。この花芽の集合体は「花束状短果枝(かそくじょうたんかし)」と呼ばれ、枝の上に一定の間隔をおいて並んでいます。一つの花芽からは3つの花が咲くため、一つの花束状短果枝からは3×6=18の花が咲き誇ります。その様子が花束に似ていることから、花束状短果枝と呼ばれています。
気象庁によると、強い寒気の影響により年末にかけて全国的に冷え込むそうです。剪定は冬空の下での作業となりますが、来年に向けての大切な作業ですから、手を抜かずに取り組みたいと思います。
↑写真2●開花を待つさくらんぼの花芽
コメント
コメント一覧 (1件)
剪定を2人で2か月って本当に大変そう。
薬の塗布ってすごいですね。やっぱり生きているんですね。子育てに近いのかな。