当果樹園では3月の中ごろ、ぶどう(デラウェア)のパイプハウスをビニルで覆いました。同月の前半は暖かい日が続いたものの、後半は寒い日が続きました。30日には昼から降り始めた雨が夜には雪に変わり、ハウスにも積もってしまうほどでした(写真1、2参照)。しかし、そうしたなかでもハウス内の日中の気温は20度程度まで上昇するので、作業は気持ちよく行うことができます。
ビニルで覆ってから一週間ほどたつと、これまで休眠していたぶどうが活動を始めました。根から吸い上げた水が剪定の切り口からしたたり落ちる「水揚げ」も見ることができました(写真3参照)。温かいハウス内の足下では、雑草も勢いよく成長しています。2週間もたつと写真4のように雑草の花で覆われます。ぶどうも、こうした他の植物たちと競うように活動を活発化させています。これからは芽がさらに膨らみ始め、小さな新梢が伸びてくる光景を見ることができます(写真5参照)。
写真1●ビニルで覆われたハウス。温度調整の換気のため、側面のビニルが開いています。
写真2●雪が積もったハウス(朝7時撮影)。昼にはだいぶ融けました。
写真3●枝の切り口から水がしたたり落ちる「水揚げ」という現象。ぶどうが冬の休眠から目覚めた証です。
写真4●「オオイヌノフグリ」の青い花が咲き乱れるハウス内。
写真5●膨らみ始めたぶどうの芽。どんどん膨らんでいき、ここから弦が伸びていきます。
一方、剪定を終えたさくらんぼは花芽が少しずつ膨らみ始めています。さくらんぼの品種のなかでも一番早く開花する紅秀峰は、特に大きく膨らんできました(写真5~7参照)。ただ、この時期から特に注意が必要となるのが「霜」。日中は晴天で暖かくても、その翌朝、放射冷却などによって地上の気温が一気にマイナスにまで下がることが多くあります。こうなるとさくらんぼの花芽が凍って、雌しべ枯れてしまう「霜害」を受けてしまうことも少なくありません。霜害を受けた花は、開花してもさくらんぼを実らせることはできなくなります。霜害を防ぐための対処法もいくつかありますが、さくらんぼの栽培にとっては細心の注意を払わなければいけない時期を迎えています。
写真5●剪定を終えたさくらんぼの果樹園。
写真6●膨らんできた紅秀峰の花芽(3月下旬撮影)。
写真7●こちらは佐藤錦の花芽。
なお、2、3月は子どもが通う中学校のPTAや地域の活動などであわただしくなり、当ウェブサイトの更新が遅れてしまいました。いつも楽しみにしていただいている皆さまには、おわびを申し上げます。果樹はこれから勢いよく生育していきますので、しっかりとリポートしていきたいと思います。
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